暑さがまだまだ残る9月13日、はじめての大相撲観戦を終えた私は、この熱を冷ましちゃいけないと感じていた。ただ、新しい習い事を入会したときの高揚感に似た感じだったので熱しやすく冷めやすい一過性のものかもとそこまで熱くはならないようにしていた。
とはいえ、せっかくの気持ちの高ぶりではあるわけなので、本場所以外には地方巡業があると聞いていた私は、スマートフォンで「東京 巡業」で調べてみた。
「令和6年 秋巡業 大相撲足立場所」という巡業がすぐ見つかり、運よく都内で実施することが分かったが、開催はなんと2週間後の10月1日である。
ホームページに記載されていたチケットは複数の種類があり本場所より少しお手頃だった。
★座席券★
タマリS席《1名》 16,000円※記念座布団付き
タマリA席《1名》 14,000円※記念座布団付き
アリーナイス席《1名》 11,000円
スタンドA席《1名》 9,000円
スタンドB席《1名》 7,000円
ステージマス席《1名》 13,000円※記念座布団付き
「まぁ2週間前だしチケットはあってもスタンドB席だけだろう」とぼんやり思いつつ、7つもあるチケット発売サイトをそれぞれ確認してみた。ほとんどのサイトが売り切れの中、主催会社のサイトにタマリS席とスタンド席が残っていたのである。2週間前でも諦めないもんだ。
チケットは記念座布団につられてタマリS席にしてみた。せっかくの機会だし、楽しむならトコトンである。
1日のスケジュール
当日の足立場所の巡業スケジュールは開場が9時からで幕内取組は14時からであった。参加するまで、初っ切りや相撲甚句はどんなものかよく分かっていなかったが、力士と握手ができるならと握手会が始まる9時前には行くことにした。ちなみに、当日まではどの力士が参加するかは不明であるので、推しになったばかりの朝紅龍関も来るといいなとうっすら思ってた。
《スケジュール》
9:00 開場〜公開稽古
9:00 握手会(4力士15分交代)
11:30 幕下以下取組、初っ切り・相撲甚句・太鼓打分実演などおたのしみコーナー
13:30 幕内・横綱土俵入り・記念セレモニー
14:00 幕内取組
15:00 弓取り式・打ち出し(終了予定)
ちなみに、後日談だが、日本相撲協会の公式SNSに当日取組表が公開されここでどの力士が来るかが事前に確認できる。
持っていって重宝したもの
1階席だと土足厳禁なのでスリッパと、グッズなども購入する可能性があったので大きめのバックを用意して、朝紅龍関の応援タオルも持っていくことにした。カメラはスマホだけで十分でオペラグラス等は不要だった。
また、当日の朝にごはんをモグモグしながら「もしかするとサインもらえるかも」とよこしまな想いが生まれたので、朝8時からやってる文房具店を探し、色紙2枚とサインペンをゲットした。2枚も持つのはかさばるかなと思ったが、結局2枚じゃ足りなくなるのは後の話である。
9:00 開場〜公開稽古~握手会
9時前に会場に着いたら、すでに会場の前には列が出来ていた。顔は分からないが、お相撲さんもどこかしこにもおり、「〇〇だー!すごい」と周りのファン達は話していた。

会場に入ってみると、すでに幕下力士が稽古を始めてた。稽古を見るのは初めてだったので自分の席に座って観ていたかったが、まずやることがあった。「握手会」への潜入である。
握手会会場に行ってみるともう長蛇の列があったが、まだ時間もあるので並んでみることにした。この時点ではどの力士が握手会をするか分からなかった。力士の手はきっと大きいんだろうなぁって握手の妄想をしてた矢先に、力士の名前が入った相撲字が見えてきた。

まさかの推しの朝紅龍関である。まさかの推しといきなり握手できるなんて、なんということだ、、、、。思考が追い付いていないまま長蛇の列は進んでいく。ついに私の番だ。思い出したようにバックから応援タオルをいそいそと出してみる。

め、めちゃくちゃ、ファンです!!!!!(応援してます!とか続けて言いたかったがモゴモゴして限界だった。)



ありがとうございます!(笑顔)
一瞬で終わってしまった。ただ高揚感はとってもあった。もう一周握手会しようかなとも思ったが、すでに満足度も高かったのでしっかり幕下の稽古を観てようと気持ちを切り替えた。
会場には土俵以外でもいたるところで力士がストレッチを始めていた。




普段は見かけない力士の多さに、力士ごとの稽古姿。すべて新鮮だった。こういう世界もあるのか。そう思いながら、フロアを一周してた時に見つけてしまった。ストレッチを開始する朝紅龍関である。
握手会が終わってそのままストレッチを開始していたようだ。近くにはまだ誰もいない。
これは、行くしかない!決意した私はバックに入れていた色紙とペンを即座に出した。



い、今大丈夫ですか?良ければ、サイン書いてもらえますか??



はい大丈夫です!
朝紅龍関のサインは、よくあるようなサササと読めないサインを書くんじゃなくしっかり名前が分かるレベルに書くサインだった。書いている間に推しと話すのが理想的な推し活だと思うが、そんな甘くない。目の前に推しがいると喋れないものである。
サインを受け取った私は元気よくお礼を言い、踵をかえしサインを見ながらニヤニヤしてた時にふと気づいた。
あれ、これツーショット写真も狙えるのでは??



何度もすみません!写真一緒に撮ってもらえますか??



はいもちろんです!
今でもこのツーショットの写真を見返すが私の笑顔がすごい。本当にピュアに喜んでいる相撲少年のソレである。
時刻は9:20頃。気づけば私は開場して20分で握手・サイン・ツーショットの推し活三種の神器を完成させてしまったのである。この巡業は16時まであるのに。
そして、こんなにもスムーズに推しと接する事が出来たことが、今後の相撲好きに拍車をかけることになったのは言うまでもない。
11:30 幕下以下取組とおたのしみコーナー
思いがけない推しとの邂逅を済んだ私は、すっかり見物(放心)モードである。ゆっくりとお楽しみコーナーの幕内力士の質問コーナーや初っ切りや相撲甚句を見ることができた。
インタビューでは、翔猿関、平戸海関、若本春関の人気力士が地元の方や相撲少年が質問する形だった。翔猿関が少年の帽子をかぶって記念撮影などもしており、会場はいい雰囲気になっていた。


初っ切り(しょっきり)では、2人の力士と行事が相撲の禁じ手や決まり手を面白おかしく紹介するパフォーマンスをしていた。ドロップキックなどもするのでさながらプロレスっぽい感じがある。というか古来のプロレスであった。これは相撲初心者や子供たちほど見てほしいパフォーマンスだと思う。


相撲甚句(すもうじんく)は、7人の力士が回りながら歌うパフォーマンスだった。七五調の囃子歌とのことだが、足立区の話をするなどご当地に合わせて少しずつ言い回しを変えているようで、中には韻を踏む力士もおり今風にアレンジをしている力士もいた。ただ、力士7人で歌いきったら終わりではなく二周目が始まったりと、相撲初心者の私には少し長く感じた。
13:30 幕内・横綱土俵入り・記念セレモニー
先ほどまで稽古していた幕内力士達も一度戻り化粧まわしをして土俵入りを会場内でゾロゾロと待機し始めていた。
ここでふと気づいた。
柵ごしではあるが、お客さん達の目の前で土俵入りを待機しているのである。しかもいつもより取組前のピリピリ差もない。そして、いたるところでサインに応じているのである!
これはチャンスだと思い、事前に購入していたもう一枚の色紙をバックから出し、たまたま運よく目の前にいた若元春関に突撃した。
そこからの私は売店でサイン色紙を追加で3枚購入し、大の里関、跳猿関、隆の勝関それぞれにサインとツーショットをお願いしたのであった。
こんなに様々な力士にサインや写真をお願いできるのは巡業の唯一無二の特権なのではないだろうか。
14:00 幕内取組と弓取り式・打ち出し


ここからは、普段の幕内力士の取組だったが、観ているといつもと少し様子が違う。取組前に自分の応援があればそっちの方を向いてくれる(アイドルでいうレス)し、塩もいつもより多い力士や観客に投げたりする(お客さん大喜び)。また、取組自体もどこか楽しくやっている節があった。こういう取組を観れるのも巡業の醍醐味だと思った。
最後に大相撲と同様に弓取り式を行ってイベントは終了した。
最後に


巡業を行くか悩んでいる人がもしこのブログを読んでいたら、家の近所や電車で行ける距離ならぜひ行ってほしい。私は運よく本場所を観戦した2週間後に巡業に行けたが、もし巡業に行っていなかったら、ここまで相撲を好きになっていなかったと思う。そのくらい巡業は素晴らしい興行だし、本場所とまた違った楽しみ方を楽しめる場所である。